技術情報
鋼床版の疲労き裂に起因したポットホールの発生を防止するコンクリート舗装
SFRCボンド補強工法
SFRCボンド補強工法とは、鋼床版上の既設アスファルト舗装を剛性の高い鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装に打ち替えることで、鋼床版の疲労き裂の進展を抑制する工法です。
2003年に国道357号の鋼床版橋にて、アスファルト舗装にポットホールが生じ、乗用車のタイヤが落ち車軸が損傷する事故が発生しました。ポットホールの発生は重大事故に繋がることから、2004年に国道357号横浜ベイブリッジにて、ポットホールの原因である鋼床版の疲労き裂を抑制するために、鋼床版とSFRC舗装をエポキシ系接着剤で接合するSFRCボンド補強工法が初めて採用されました。
以来、国土交通省だけでなく高速道路各社においてもSFRCボンド補強工法が採用され、順次対策が進められています。
SFRCボンド補強工法は、土木研究所と民間4社の鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する共同研究(その 2・3・4)報告書「SFRC 舗装による既設鋼床版の補強に関する設計・施工マニュアル(案)」に適合しています。
特長
-
01
面的な接合方法の採用
従来、SFRCと鋼床版はスタッドジベルにて接合する方法が一般的でしたが、本工法では、疲労き裂の抑制効果を高めるため、専用接着剤を用いて面的に接合させます。
-
02
輪荷重走行試験による耐疲労性の確認
専用接着剤は、まだ固まっていないフレッシュコンクリートと鋼床版を接合させるものです。硬化時には、セメントの水和反応を阻害しないこと、硬化後は、輪荷重に対して耐疲労性を有することが要求されます。そのため、日本大学生産工学部、(国研)土木研究所、首都高速道路(株)それぞれの共同研究において輪荷重走行試験にて専用接着剤の耐疲労性を検証しております。 -
03
専用接着剤による界面剥離防止
専用接着剤「KSボンド」は、温水曝露(JIS K 6857条件E)による強度低下が少なく、界面剥離が生じにくい土木用高耐久型エポキシ系接着剤です。 ひび割れ後または雨水の浸入に対しても長期間の付着が期待でき、防錆効果もあります。 -
04
疲労き裂の抑制効果
SFRC舗装施工前後の鋼床版箱桁橋の鋼床版とUリブとの溶接部分(裏面)の作用応力は、FEM解析結果から、80%程度の減少(1/5まで減少)が期待できます(10t荷重)。 -
05
一車線規制に対応した施工機械
一車線規制では横から材料供給が出来ないため、鋼繊維補強コンクリートを打設位置まで運搬することが課題となります。弊社では、一車線規制においても安全に施工ができる縦取りSFRC供給機(特許)からコンクリートフィニッシャにいたる一連の施工機械を開発しています。